
通信制高校をやめたら学費は戻るか
通信制高校の授業料は、途中でやめても戻らないのが基本です。この記事で調べた2校の通信制高校は、どちらも公式ページにそう明記していました(N高等学校「理由を問わず返金できません」・中央国際高等学校「いかなる理由があっても返金いたしません」)。すでに在学していてやめるか迷っている場合は、後半の「やめる前に、学校に聞くこと」に、いつまでに何をすればよいかを期限の短い順でまとめました。
この記事でわかること
- N高等学校・SOZOWスクール高等部・中央国際高等学校の3校が、やめたときに何を返し、何を返さないか(特定商取引法に基づく表記と学納金ページの記載)
- やめた時期別に、手元から消える額はいくらになるか(学校別の計算例)
- 公式ページに答えが書かれていない項目を、いつまでに誰へ聞けばよいか
入学を検討している段階なら、申し込みボタンを押す前にこの3点を確認してください。3年間の学費総額については別記事(通信制高校、3年間でいくらかかるのか)で計算しています。
やめる時期によって何が変わるか
通信制高校を途中退学すると、「戻るお金」と「戻らないお金」の種類が時期によって変わります。

区切り方も金額も学校ごとに違うので、3校それぞれの公式ページの表記から順に見ていきます。
N高等学校の返金条件
入学金と授業料の基本的な扱い
N高等学校で戻らないと明記されているのは、入学金と通信制課程の授業料の2つです。特定商取引法ページには次のように書かれています。
- 入学金(ネットコースの場合10,000円)は理由を問わず返金されません。
- 通信制課程(ネットコース)の授業料は「理由を問わず返金できません」と明記されています。
ネットコースの学費は年次一括払いのため、年度途中に退学しても授業料は1円も戻りません。普通科の1年あたりの授業料は25単位分で300,000円(1単位あたり12,000円)です。
入学手続き完了後、教材などが到着した日から10日以内に入学辞退を申し出た場合は「全額を返金」という条件も公式ページに記載されています。ただし入学金については「理由を問わず返金不可」とも別に定めがあり、2つの条件をどう整理するかは公式ページだけでは確認できませんでした(後半に質問文を用意しました)。
週5・週3・週1+コース(ネットコースとは別に申し込むキャンパスコース)の授業料は、月割り計算(1か月未満切り捨て)で返金されます。ただし、その土台にあるネットコース(通信制課程)の授業料は「理由を問わず返金不可」です。キャンパスコース分が月割りで戻っても、通信制部分は全額損失です。
年次別の確定損失(普通科・就学支援金なしの計算例)
年度途中にやめても、その年度分の学費全額が返金不可になります。
| やめる時期 | 支払い済み合計 | 返金不可が確認できる額 |
|---|---|---|
| 1年次の途中 | 373,000円 | 310,000円以上(入学金10,000+授業料300,000) |
| 2年次の途中 | 736,000円 | 610,000円以上(入学金10,000+1・2年次授業料各300,000) |
| 3年次の途中 | 1,099,000円 | 910,000円以上(入学金10,000+全3年分授業料各300,000) |
「返金不可が確認できる額」は、入学金と授業料の分だけです。施設設備費(50,000円/年)・教育関連諸費(13,000円/年)の退学時の返金条件は公式ページで確認できませんでした(後半に質問文を用意しました)。
就学支援金の先引きを使っている場合の追加注意
就学支援金の先引きを使っている場合(1年次の自己負担は73,000円)、実際に払う金額は表より大幅に少なくなります。ただし公式ページには、学期途中で退学・転学すると就学支援金の満額受給ができなくなり、差額が2次請求の対象になると明記されています。
同じページに「2次請求に応じない(納入が確認できない)場合は退学・転学の手続きができない」ともあります。授業料は年次一括払いで戻らないうえ、精算分は追加で払うことになります。精算額の具体的な計算方法は公式ページに記載がありませんでした(後半に質問文を用意しました)。
SOZOWスクール高等部の返金条件
SOZOWスクール高等部はサポート校で、やめる時期によって戻る額が3通りに分かれます。
特定商取引法に基づく表記によると、契約書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができます。この期間内であれば損害賠償・違約金なしに全額返金されます。
8日を過ぎた後も中途解約ができます。申し出の期限は解約希望月の20日で、その月の29日(2月は27日)まで在籍します。
返金額の計算式(役務提供後の解約):
返金額 = 未受講分の月額学費 ー 解約費用
解約費用は「50,000円」または「1か月分の月額学費」のうち低い方です。個性発見コース(週1)の月額は22,000円のため解約費用は22,000円、好奇心実現コース(週3)の月額は33,000円のため解約費用は33,000円です。
入学金(55,000円)は、この役務提供後の解約では計算上「入学金相当額」として控除されます。授業が始まった後は、いつ解約しても入学金は実質的に戻りません。クーリング・オフの期間内と、授業が始まる前の解約では扱いが変わり、その3つの分岐は後半の「やめる前に、学校に聞くこと」で整理します。
計算例(個性発見コース・週1、年間一括払い、1年次7月末に解約する場合):
前提: 4月入学・年間学費を一括払い・7月20日に解約を申し出る
- 支払い済み: 入学金55,000円 + 年間学費264,000円 = 319,000円
- 在籍期間(4月〜7月): 4か月 × 22,000円 = 受講済み88,000円
- 未受講分(8月〜3月): 8か月 × 22,000円 = 176,000円
- 解約費用: 22,000円
- 返金額: 176,000円 ー 22,000円 = 154,000円
- SOZOW側の損失: 319,000円 ー 154,000円 = 165,000円
中央国際高等学校の返金条件
中央国際高等学校の公式ページには「一度納入された学納金は、いかなる理由があっても返金いたしません」と明記されています。入学金(50,000円)・教育運営費(30,000円/年)・授業料(15,000円/単位)のすべてが対象で、退学の時期や理由を問わず返金されません。クーリング・オフについての記載は公式ページで確認できませんでした(後半に質問文を用意しました)。
SOZOWスクール経由で入学している人は、中央国際とSOZOWの両方に学費を払っています。SOZOW側では中途解約の計算に従い未受講分の一部が戻りますが、中央国際側は理由・時期を問わず全額返金なしです。

1年次途中で退学した場合の中央国際分の確定損失(就学支援金あり・令和8年度新制度の計算例):
令和8年度新制度では1単位あたりの就学支援金上限が13,668円です。中央国際の授業料単価(15,000円)は上限を1,332円上回るため、差額が自己負担として残ります。
| 費目 | 1年次の自己負担額 | 返金の可否 |
|---|---|---|
| 入学金 | 50,000円 | 返金不可 |
| 教育運営費 | 30,000円 | 返金不可 |
| 授業料自己負担分(25単位 × 1,332円) | 33,300円 | 返金不可 |
| 1年次の確定損失合計 | 113,300円 | 全額返金不可 |
SOZOWと中央国際を合算した損失
上の計算例(個性発見コース・年間一括払い・1年次7月末に解約)で2か所を合算します。
| 支払い先 | 払った額 | 戻る額 | 損失 |
|---|---|---|---|
| SOZOWスクール | 319,000円 | 154,000円 | 165,000円 |
| 中央国際高等学校(就学支援金あり) | 113,300円 | 0円 | 113,300円 |
| 合計 | 432,300円 | 154,000円 | 278,300円 |
SOZOWからは154,000円が戻りますが、中央国際の113,300円は一切戻りません。中央国際に直接入学していた場合の損失は113,300円です。SOZOWスクールを経由したことで損失が165,000円多くなります。この上乗せ分は就学支援金では減らせません。
費用条件から見た選び分け
入学前に返金条件を確認してから決めるべき人
次の2つの場合、早期退学のコストが特に大きくなります。
サポート校(SOZOWスクールなど)と通信制高校の両方に入学する予定の場合、返金条件は2か所で別々です。通信制高校側(中央国際高等学校など)は「いかなる理由があっても返金しない」と明記しており、納入した後は時期を問わず授業料が全額損失になります。
N高ネットコースは年次一括払いのため、入学直後から授業料(最大300,000円/年)が返金対象外になります。「まず1年試してみよう」という判断でも、その年度分の授業料は確定損失です。
返金条件よりも総額を優先して確認すべき人
入学してから3年間通い切る見通しが立っている場合は、返金条件よりも学費総額と就学支援金の組み合わせを先に確認してください。総額の計算は別記事で扱っています。
比較対象との選び分け
N高ネットコースとSOZOW+中央国際
途中退学のリスクを重視するなら、N高ネットコースの方が損失額の上限を把握しやすい選択です。返金条件を確認する窓口が1か所で済み、年度ごとの確定損失額を事前に計算できます。
SOZOW+中央国際の組み合わせは2か所の返金条件を別々に把握する必要があります。中央国際側は「いかなる理由があっても返金なし」のため、損失総額はSOZOWの損失額がそのまま上乗せされます。
登校サポートが必要かどうかで選ぶ場合
週1〜3回の登校機会や個別サポートが本人に必要な場合は、SOZOW+中央国際の組み合わせに費用上の根拠があります。登校サポートが不要であれば、N高ネットコースの方が費用面と返金条件の両方でシンプルです。
やめる前に、学校に聞くこと
ここから先は、公式ページを読んでも答えが出ない項目です。期限の短い順に並べました。先に消えるのは日付の選択肢で、金額の相談はその後でも間に合います。
在学中でやめるか迷っている人は上から順に、入学を検討している人は同じ質問を申し込み前に使ってください。
1. まず日付を確かめる(数日単位の期限)
最初にやるのは電話ではなく、手元の書面の日付の確認です。
- SOZOWスクール高等部は、契約書面を受け取った日から起算して8日以内であればクーリング・オフができます。この期間内であれば、損害賠償も違約金もなく、すでに授業を受けていた場合でもその対価を請求されることはありません。払った額は入学金を含めて全額戻ります。
- N高等学校は、入学手続き完了後に教材などが到着した日から10日以内に入学辞退を申し出た場合に限り「全額を返金」と公式ページに記載があります。
書面と教材の到着日を見て、この期間内かどうかをまず判定してください。過ぎていれば2に進みます。
期間内だった場合、次の2つは公式ページに答えがないので、その日のうちに学校へ聞いてください。
- 「教材が届いてから10日以内に入学辞退を申し出た場合、入学金10,000円も返金されますか」(N高等学校の問い合わせ窓口) ← 公式ページには「入学金は理由を問わず返金不可」と「教材到着から10日以内の申し出は全額返金」の2つの定めがあり、どちらが優先するかは書かれていません。10,000円が戻るかどうかが、この回答で決まります。
- 「入学の申し込み後にクーリング・オフはできますか。できる場合、期限は何日ですか」(中央国際高等学校の事務窓口) ← 中央国際高等学校の公式ページにクーリング・オフの記載はありません。「一度納入された学納金は、いかなる理由があっても返金いたしません」に例外があるかどうかが、この数日で決まります。
2. 8日を過ぎている場合:申し出の締め切りと戻る額(月単位の期限)
クーリング・オフの8日を過ぎた後も、SOZOWスクール高等部は中途解約ができます。ここから先は「いつ申し出たか」と「授業(役務の提供)が始まっているか」の2つで戻る額が変わります。
申し出の期限は、解約を希望する月の20日までです(小中等部は10日、高等部は20日)。20日までに申し出ると、その月の29日(2月は27日。SOZOWの休業日にあたる場合は前営業日)まで在籍し、翌日以降は役務の提供が終わります。返金は、申し出があった月の翌月末日までに行われます。
20日までに申し出た場合の戻る額は、授業が始まる前か後かで分かれます。
- まだ役務の提供を受けていない段階での解約なら、入学金・学費等から20,000円を控除した残額が戻ります。
- すでに役務の提供を受けた後の解約なら、公式の計算は「入学金及び未受講分の学費」から入学金相当額と解約費用を控除する形です。入学金相当額の控除は、計算の土台に入れた入学金を相殺するためのものです。手元に戻るのは記事の前半で計算した「未受講分の学費 ー 解約費用」(計算例では154,000円)になります。
N高等学校で週5・週3・週1+コースをやめて通信制課程だけに変える場合は、受講開始月の前月末日までに申し出た場合に限り、そのコースの学費等が返金されます。これは毎月来る締め切りではなく、受講開始月の直前の月末という一度きりの日付です。
この段階で聞くのは次の2つです。どちらも、今月中に動くか翌月に回すかの判断に直結します。
- 「20日を過ぎて解約を申し出た場合、解約はいつ成立し、返金額はどう計算されますか」(SOZOWスクール高等部) ← 公式の特定商取引法ページは、20日までに申し出た場合の扱いしか定めていません。今日が20日を過ぎているなら、この回答で在籍が1か月延びるかどうかが決まります。
- 「通信制課程そのものを退学する場合、申し出の締め切りはありますか」(N高等学校の問い合わせ窓口) ← 公式ページにある期限は、教材到着から10日以内の入学辞退と、週5・週3・週1+コースを辞退する場合の前月末日だけです。通信制課程の退学に月単位の締め切りがあるかは書かれていません。
3. 就学支援金の精算(2次請求)と、記載のない費目を聞く
前半で見たとおり、N高等学校は2次請求に応じない場合は退学・転学の手続きができないと明記しています。ところが精算額の計算方法は公式ページに載っていないため、「やめる日」を決める前に金額を確かめる必要があります。
- 「◯月◯日に退学する場合、就学支援金の2次請求はいくらになりますか。現在の履修単位数は◯単位です」(N高等学校の問い合わせ窓口) ← 精算額の計算方法は公式ページに記載がありません。この金額を知らないまま退学日を決めると、手続きを止められた状態で想定外の支払いが出ます。退学予定日と履修単位数を伝えると計算してもらえます。
- 「施設設備費(50,000円/年)と教育関連諸費(13,000円/年)は、年度途中でやめた場合に戻りますか」(N高等学校の問い合わせ窓口) ← 公式ページが返金しないと明記しているのは入学金と授業料だけで、この2つの費目には記載がありません。前半の表の「返金不可が確認できる額」に、この2つを足すことになるかどうかが決まります。
4. 転校を考えている場合は、次の学校での支援金の扱いを確認する
N高等学校では、転入学・編入学の場合は就学支援金の「支給見込額の先引き」の対象外になります。年度途中の転入学では、前籍校での在籍月数や履修単位数によって支給額が減る場合があります。
- 「年度途中に転入学した場合、就学支援金の支給額はいくらになりますか。支給見込額の先引きは使えますか」(転校先の入学相談窓口) ← 減る額は前籍校での在籍月数や履修単位数で変わり、公式ページに計算の基準は示されていません。金額は転校先の窓口でしか分かりません。
5. 中央国際高等学校に在籍している場合
中央国際高等学校は時期を選んでも戻る額が変わらないため、1・2の日付の判定は不要です。聞くことは1つだけです。
- 「退学するとき、就学支援金の精算(2次請求)を求められますか」(中央国際高等学校の事務窓口) ← N高等学校で確認できた2次請求の定めが、中央国際高等学校にも同じように適用されるかは公式ページで確認できませんでした。求められる場合は、戻る額がゼロのうえに追加の支払いが出ます。
まとめ:返金条件をどこで・いつ確認するか
返金条件は、どの学校でも申し込む前に読めます。読む場所はだいたい決まっていて、「特定商取引法に基づく表記」のページと、学費・学納金のページの2か所です。
この記事で扱った3校も、返金の可否はすべてこの2種類のページに書かれていました。パンフレットや説明会の口頭説明ではなく、この2ページを開いてください。
見るのは3行だけです。
- 入学金が戻るかどうか(N高等学校と中央国際高等学校は理由を問わず戻りません。SOZOWスクール高等部は上の3つの分岐で扱いが変わります)
- 授業料が月割りで戻るのか、それとも「理由を問わず返金しない」と書かれているか
- 申し出の期限が何日か
この3つが分かれば、やめたときに手元から消える額を自分で計算できます。
確認するタイミングは2つです。入学前なら、申し込みボタンを押す直前。すでに在学しているなら、上の「やめる前に、学校に聞くこと」の順に、契約書面と教材の到着日から確かめてください。どれも「いつ申し出たか」で扱いが分かれる条件なので、金額の相談より先に日付を決めます。
裏が取れていない事項(未確認)
ここに挙げた項目は公式ページで確認できなかったものです。上の表と金額は、それ以外の確認できた情報だけで作っています。
申し込む前に確認をすすめる項目
- SOZOWスクール高等部の半期払い(前期4〜9月・後期10〜3月)を選んだ場合の中途解約時の返金計算。この記事の計算例は年間一括払いを前提にしています。半期払いのときに未受講分をどこから起算するかは、特定商取引法のページに書かれていません。